石原新さんが歩む21世紀型日本人ビジネスマンへの道

第26回
バレなきゃいいんじゃない?という顧客に売り込むには

大手パソコンメーカーのうち、
米国ブランドのCompaq(当時)やDellは、
1990年代の早い段階で価格の安い台湾OEMに目をつけ、
組立の加工委託を始めていました。

ただ、これは最初からうまくいったわけではないようです。
なぜなら、台湾の人たちは利益を捻出するためなら
かなりの「冒険」をする人たちで、
納入された完成品を検査してみると、
指定されたものとは違ういかがわしい部品が使われていたり、
あるいは、そこに搭載されているはずのモノが影もカタチもない、
なんてこともあったようです。

そのため、米国から派遣された品質保証や技術のエンジニアが
かなりの期間にわたって委託先に常駐して、
工場で監視にあたるとともに、
品質の大切さを教育・啓蒙する必要があったそうです。

ノートブックパソコンは、今日でもそうですが、
携帯性をもたせるため、デスクトップパソコンよりも
技術的に高いレベルを要求されます。
例えば、出張時に飛行機や新幹線の中で
長時間利用できるようにするため、
各部品は低消費電力で駆動するようにしなければなりません。
また、限られたスペースに各部品を詰め込むため、
常に小型化・薄型化を進めていく必要があります。
ただし、薄いからといって
満員電車の中で押されたときに壊れてしまってはダメ、
強靭さも必要です。

従って、当時は製品設計は米国のブランドメーカー、
組み立ては台湾OEMという分業体制になっていました。

台湾小倉は、注残処理の他には、新製品が開発されるまでの間、
現世代のモジュールを他社置換えで採用してもらうよう
台湾OEMに売り込むしか選択肢がありませんでした。
しかし、彼らはコストのことしか頭になく、競合に比べて
2割3割安くできなければ話にならないと言ってきました。
コストの一番大きな部分はICが占めていましたが、
量が出なければコストが下がらない、
値段を下げなければ量がとれない、
という悪循環に陥ってしまいました。


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2005年3月1日(火)

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