石原新さんが歩む21世紀型日本人ビジネスマンへの道

第39回
頼れるのは自分の腕一本、と心底思えますか?

「日僑の時代」で、華僑が東南アジアで成功した理由を、
邱さんは、「外国に住む気構えの違い」と書かれています。
つまり、「国を追われて海外に逃げ出したり、
国内で食いっぱぐれて海外に出稼ぎに出る人が多い」ので、
「移住した先にしっかりと根を下ろし、
そこを自分たちの安住の地と心得ている人が多い」のです。

帰るところがないから、勤勉でよく働く、
だから
「来たばかりのころはそれこそ天秤棒一本、
靴も履かない裸足から始まるが、
たちまちのうちにお金を貯めて旦那衆にのし上がって」
いったのだそうです。
今、海外に出て行こうとする日本人とは
かなり違う状況に思えますが、
邱さんによると、かつて日本人は似たような状況で
戦後の奇跡的な経済成長に寄与していたというのです。

それは、戦後日本に強制送還された
海外からの引揚者たちによってもたらされました。
「彼らは、もとからその土地にいる人に比べると、
便りにする人もなかったし、
生活も不安定で、自分たちで頑張るよりほかない。
もともと根無し草だから、
その土地のしきたりや固定観念に煩わされることもない」。
ないないづくしから夢中で働いた結果、
今日につながる経済的繁栄を築くことができたのでした。

このことから、成功への道筋に、
他所者であることによる
「食べるものがない、生命の保障がない緊張感」や
「しがらみに囚われない自由な着想」という
二つのカギが浮かんできますが、
物質的には恵まれている、豊かな日本がまだ帰る国としてある
今の我々にとって、前者の状況が切実なものとしてあるでしょうか?

「経営者として大成するためには、戦争・投獄・大病という
極限の体験のいずれかを持っていなければならない」
という警句があるそうですが、
私の場合、幸か不幸か、このいずれも体験したことがありません。
では、どうするか?社会企業家の田坂広志氏によると、
「想像力の極みで」
これらを感じ取ることだそうです。
現場に実際立つことが、
このような境地にいたる第一歩なのかも知れません。


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2005年3月31日(木)

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