石原新さんが歩む21世紀型日本人ビジネスマンへの道

第65回
敵の敵は味方?

台湾の野党国民党の党首である連戦氏が4月末に大陸を訪問し、
中国政府トップとの会見の場を持ちました。
親民党の宋楚瑜主席も後を追うように大陸を訪問中です。

国民党にとっては、
1949年に中国共産党との戦いに敗れ大陸を追われてから
56年ぶりの「再登陸」となりましたが、
それは、蒋介石が目指していた武力による再制圧ではなく、
党首による、「個人名義、民間レベル」での訪問、
というかたちで実現しました。

ところが、連戦氏は、
胡錦濤・中国共産党総書記(国家主席)と
4月29日に北京で会談した中で、
両岸関係の改善、平和的発展を図り、
台湾独立に反対する立場で一致を見、会談後両党は、

1.両岸対話回復、
2.敵対状態終結と平和協定の締結、
3.台湾の世界保健機関(WHO)加盟を含む
 国際活動への参加協議の促進

など五項目を共同コミュニケとして発表しました。

どうして、
「個人名義、民間レベル」というタテマエで訪問した人間と
共産党総書記が会見し政治に関する共同宣言を出したのか、
なぜ民主的な選挙で選ばれた陳水扁総統の民進党ではなく、
昔の敵である国民党との間で対話を公に再開したのか、
この辺に両者の思惑が感じ取れます。

中国側では、懸案となっている台湾との統一を推し進めるために
台湾でも親大陸派の人たちの取り込みを図り、
2000年の初当選以来、
一貫して台湾独立の機会をうかがう
陳水扁総統を牽制しようとしているように受け取れます。
一方、台湾における二度の総統選でいずれも破れ、
今年中に政界引退を公言している連戦氏は、
「中国統一に道筋をつけた」ことを引退の花道にしたいようです。

相次ぐ野党党首の訪問の是非については
台湾国内でも意見が真っ二つに割れており、
野党党首が勝手に宣言した
共同宣言自体の有効性も疑問視されていますが、
この問題が簡単に片付くものでなく、
一進一退を繰り返しながら続いていきそうなことだけは
確かなようです。


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2005年5月6日(金)

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