石原新さんが歩む21世紀型日本人ビジネスマンへの道

第86回
国際情勢をどう見通すか?

5/28放送のNHK/BSドキュメンタリー、
「外交の瞬間」をご覧になりましたか?

1972年2月の米ニクソン大統領の訪中時に調印された
「上海コミュニケ」に至るまでの米中接近の過程を、
米国立公文書館に残された
「ニクソン・テープ」と呼ばれる膨大な録音記憶を辿ることにより
振り返った番組でした。

「ニクソン・ショック」というと、1971年8月の
金ドル兌換停止を思い浮かべる方が多いかも知れませんが、
米キッシンジャー大統領補佐官が同年7月と10月に訪中し、
(日本の頭越しに)周恩来主席との間で
「上海コミュニケ」の内容を詰めていたことも
また指して言っています。

この声明によって両国は敵対関係に終止符を打ち、
台湾問題については、
「台湾海峡の両側のすべての中国人がみな、中国はただ一つであり、
台湾は中国の一部であると考えていることを
認識した(acknowledge)」
と述べました。
台湾独立は許さないが、軍事力による台湾の開放には反対する、
というスタンスはその後の米国対中政策の原点となりました。

「二つの中国」、
あるいは「一つの中国、一つの台湾」は
あり得ないという外交姿勢がこの時方向付けられたわけですが、
「承認(recognize)」ではなく、
「認識(acknowledge)」という表現を使ったその曖昧さが、
この問題を巡っての米中双方の駆け引きの熾烈さを物語っています。
両岸の関係が、当事者間だけでなく、
世界情勢、当時であればベトナム戦争の泥沼化、
中ソの軍事的対立、日本の経済的台頭に伴う再軍備化の恐れ等による
大国間の危ういパワーバランスに翻弄され、
曖昧な言質が
その危うい均衡を辛うじて支えてきたことも見えてきます。

我々がこのような外交の舞台裏を知るのは
大概ずっと後のことですが、
ニュースなどからちらちらと垣間見えてくる事象から、
全体をうかがい知る洞察力を身につけたいものです。


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2005年6月6日(月)

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