服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第4回
チョッキの遊び方

これは和服のほうの話ですが、
昔の男は「羽織に凝る」なんてことを言ったものです。
着物と対(つい)にはしないで、わざわざ色柄の違う
羽織を組み合わせたりした。

洋服の世界でもこれに似たことがあります。
たとえばオッド・ヴェスト(変わりチョッキ)がそれです。
三つ揃いとしてのヴェストではなく、
独立したデザインのチョッキであることは
言うまでもないでしょう。

でもそのために、新しくオッド・ヴェストを
買い求める必要はありません。
洋服ダンスの奥を探してみれば、もう着なくなった
三つ揃い背広があるのではないでしょうか。
そのなかからチョッキだけを抜出せば、
再利用できるかも知れません。
お父さんやお祖父ちゃんのお古であったら、
もっと理想的でしょう。
若い人のなかにはそのために古着屋で
見つけてくる人もいるほどなのですから。

いちばんのおすすめは無地のチョッキ。
これは応用範囲が広く、どんなシャツにでも
合わせられるからです。
逆に難しいのは縞柄のチョッキ。
礼服用の黒のチョッキなどはたぶん
最新流行として通用するでしょう。

さて、それはともかくいつもジャケットやスーツのなかに、
さり気なく掘出しもののチョッキを組合わせてみるのです。
少なくとも新しい印象の着こなしを
愉しむことができるでしょう。

しかし自作オッド・ヴェストの使い途は
それだけではありません。
スポーツ・シャツの上などに、
まるでカジュアルなジャケットを羽織るように
使うこともできるのです。

三つ揃いの場合、チョッキの一番下のボタンを
外しておくのがおしゃれ、ということになっています。
けれどもオッド・ヴェストを新しい脇役として使うなら、
もっともっと自由で良いのではないでしょうか。
上のボタンを少し外しても良いし、
場合によってはまったくボタンを
掛けない着こなし方だってあるはずです。
チョッキで大いに遊びましょう。


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