服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第20回
色を味方につける法

世の中には見ず知らずの猫に好かれる人がいます。
もちろんその一方で、ちっとも猫がなつかない人もいます。
この違いはいったい何なのか。
単純化して結論づけるなら、猫好きは猫に好かれ、
猫嫌いは猫に嫌われるのです。

でも、ここで猫の話をしようというのではありません。
色の話。「どうもオレはグリーンが似合わない」
なんてことを言います。
しかし、世の中には最初から似合う色と似合わない色が
あるわけではありません。
美しい色と美しくない色があるだけなのです。

仮にグリーンが似合わないと思っている人がいるとします。
それは似合わないのではなくて、
当の本人がグリーンを苦手だと思っているのです。
あるいは慣れてない色を突然着た場合にも
似たような現象が起こりました。

たとえばグリーンという色を
自分の見方につけようとするなら、
その色を好きになってやることです。
繰返し繰返しグリーンの服に袖を通してみる。
家で使うタオルもグリーンなら、
果物などもなるべくならキウイを食べるようにするとか。
とにかくグリーンに慣れてしまう。

そうするとですね。ごく自然に、
グリーンにも様ざまな色があるのだな、ということが分ってくる。
つまりグリーンの服やアクセサリーを買う時に、
色の選び方が上手になってくる。
さらにはそのようなグリーンにはどんな色がふさわしいのか、
ということも分かるようになってくる。
−結局、こうしていつの間にかグリーンの好きな人、
グリーンの似合う人になっているはずです。
実は、色というのはそんなものなのです。

むかしピーター・オトゥールという俳優がいて、
この人もグリーンの服が好きでした。ある人が問うた。
「あなたはどうしてそんなにグリーンが好きなんですか?」
これに答えて、P・オトゥールが言った。
<なあに、私の瞳の色がグリーンなものでね>。さすが。


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