服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第38回
アーガイルにはじまりアーガイルに終る

アーガイルという柄があるのを知っていますか。
多色使いで、斜め格子柄の独特のパターンです。
もともとはスコットランドのタータン・チェックの一種。
キルト(民族衣装としての男性用スカート)の下に合わせる
靴下の柄に使われたのがはじまりなのです。

その意味ではアーガイル柄のスェーターよりも
アーガイル・ソックスのほうが
より正統的と言えるかも知れません。
アーガイル・ソックスとくればたいていの場合、
素材はウールで、暖いというのもひとつのメリットでしょう。

アーガイル・ソックスにもっともよくマッチする靴は、
スウェード・シューズです。色はブラウン系。
茶のスウェード・シューズに組合わせたアーガイル・ソックスは、
その足もとを見ただけで惚れ惚れしてしまうほどです。
ことにアーガイル柄の一色に
イエローが使われていたりすると、なおさらです。
この場合のブラウンとイエローはほとんど理想的配色となります。
茶のスェード・シューズの色あいは様ざまなものから選べます。
ダーク・ブラウンをはじめとして、
ライト・ブラウンやミディアム・ブラウンでも結構です。
あるいはサドル・オクスフォードと呼ばれる、
甲の一部分に別色を配したスタイルの靴を
合わせることもあるでしょう。

ではパンツ(ズボン)はどうするか。
もっとも一般的なのは、グレイのフラノ地。
このグレイ・フランネルズはアーガイルに限らず、
この上なく応用範囲の広いことで知られているのですが。
あるいはキャヴァルリー・トゥイル(太い綾織地)の
ベージュ色のトラウザーでも、
アーガイル・ソックスには最適です。

それはともかく、頭から靴下は無地と決めてかからずに、
足もとの色柄を大いに愉しみましょう。
そのための第一歩がアーガイル・ソックスであり、
また最終地点でもあるのです。
私は老いぼれになっても、
絶対にアーガイルが似合うジジイになりたいと決めています。


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