服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第43回
センター・ディムプルなんて恐くない

センター・ディムプルを知っていますか。
ネクタイの結目すぐ下の、小さなくぼみのことですね。
センター・ディントと呼ぶこともあります。
”ディムプル”(dimple)には
「えくぼ」の意味がありますから、
「ネクタイのえくぼ」と理解することもできるでしょう。

ネクタイを結ぶということは、ある面
広い部分を狭くすることでもありますから、当然、シワになる。
これを単なるシワとせず、
美しいヒダに仕上げようという考え方なのです。
ネクタイも絹なら和服の帯もまた絹で、
両者に共通点があるのは偶然ではないでしょう。
帯の結び方に流儀と美しさがあるように、
ネクタイにもそれがあるのです。
つまり女性が帯を結ぶ気持でネクタイに立向えば、
必ずや美しい結目が完成するに違いありません。

さて、ここで上手な
センター・ディムプルのつくり方をお教えします。
たとえばプレーン・ノット(一重(ひとえ)結び)の場合を
例にあげましょう。
小剣の上から大剣を交差させ、輪の中に大剣を通す。
この直後すぐ、結目を3枚に畳むようにして、くぼみを作る。
そしてこのくぼみをこわさないようにしながら、
ゆっくりと結び上げる。
たぶんこれで美しいセンター・ディムプルが完成するはずです。
ぜひ一度、試してみて下さい。

けれども私自身は、
現在センター・ディンプルをつける結び方はしていません。
結目下の両脇にくぼみをつけるやり方。
名前はまだありません。
自分では勝手に<私自身の発明だ!>
と思い込んでいるのですから。
さしずめ「ダブル・ディムプル・ショウゾウ」
といったところでしょうか。
中央にくぼみをひとつ付けるか、
両脇にふたつのくぼみを付けるかの違いですから、
そう難しいことではありません。
ご興味おありなら、トライしてはいかがでしょうか。

まあ、それはともかくとして、
ネクタイは自分の手で結ぶ唯一の小道具ですから、
自分だけの独想で愉しみたいではありませんか。


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2002年11月5日(火)

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