服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第47回
スポーツ・シャツの出発点

ビエラという生地があるのを知っていますか。
よくスポーツ・シャツなどに使われる、
軽くてしなやかな素材で、柄としては小格子が多いものです。

「スポーツ・シャツはなんといってもビエラに限るよ」
なんて言う方は、かなりおしゃれに通じた人物でしょう。
ビエラは知る人ぞ知る素材ですから、
それと知らずに着ている人もいるかも知れません。

ビエラはタテ糸に細い、上質のメルノ・ウールを、
ヨコ糸に丈夫な、長いコットンを使って織った生地のことで、
当然のことながらウールの良さとコットンの良さを
同時に持っているのです。
その混率はざっと50%づつですが、実際にはウール55%、
コットン45%の割合に近くなります。
ビエラの扱い方はウール地に則したものとなります。

たとえば紺のブレザー、グレイのパンツ中に、
タッタソール・チェックのビエラのシャツを着ているなんて、
惚れ惚れする男の魅力を演出してくれるものです。
タッターソール・チェックも小格子の一種ですが、
2色使いのチェックで、時に「乗馬格子」と呼ばれたりします。

ところが「ビエラ」は日本語的な表現で、
正しくは”ヴァイエラ”Viyellaで、
本来は大文字で書きはじめる言葉なのです。
あるいは”ヴァイエラ・フランネル”と
呼ばれることもあります。
いずれにしてもそもそもは登録商標名にはじまっているのです。
1890年に、イギリスのウイリアム・ホリンズという会社が開発し、
”ヴァイエラ”と命名した素材なのです。

まあ、それはともかくとして、
せめて1枚くらいはビエラのシャツを持っていたいものです。
たとえば白い、薄手のタートルネック・スェーターを着、
その上からまるでジャケットであるかのように、
ビエラのスポーツ・シャツを羽織ってみるのも、
おしゃれなやり方です。


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2002年11月9日(土)

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