服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第51回
カーディガン着こなしの秘密

カーディガンの語源を知っていますか。
イギリスのカーディガン伯爵(1796〜1868年)が
考察したことに因んでいます。
人名転じて服の名前になった一例です。

カーディガンを新しく買った時は、
最初にパジャマの上から羽織ってみることをおすすめします。
これでそのカーディガンと仲良しになれるはずです。
つまり緊張感がほぐれるわけですね。
次に、シャツにタイを結んで、
あたかも替上着のようなつもりで着こなしてみましょう。
これでドレス・ダウンとドレス・アップの両脇を
経験したことになります。
なるほどカーディガンの着こなしは幅が広いんだなあ、
と実感されるでしょう。
もうこれでカーディガンを自由に着こなせるライセンスを
取ったようなものです。

映画『マイ・フェア・レディ』のなかで、
ヒギンス教授に扮するレックス・ハリスンが
カーディガン姿で登場する場面があります。
シャツにニット・タイを結んでいて、
これ以上のお手本はないでしょう。
まあ、映画を観るだけで損はありません。

カーディガンはスェーターに似て、
スェーターよりもさらに脱ぎ着が楽です。
畳んで鞄に入れてもシワになりにくいので、
旅行には最適でしょう。
ことに機内での温度調節には役立ってくれます。
まったく同じカーディガンがあっても、
前ボタンの合わせ方ひとつで表情が異なってくるのも面白い。
上のボタンを1つ2つ外してみる。
あるいは下のボタンを1つ2つ外してみる。
これは実際に鏡の前で試してみて下さい。

カーディガンに限りませんが、
男の服は肩線が生命(いのち)です。
もしも肩が頼りないなあ、と思ったら、
内側に肩パッドを縫いつけておく方法があります。
肩パッドは洋製材料店で簡単に手に入ります。
これもまた鏡の前で実際に試してみて、
ごく自然な肩線になるよう工夫して下さい。
たったそれだけのことで
美しいシルエットが生まれるはずです。


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2002年11月13日(水)

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