服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第50回
ああ、だからトイレは忙しい

トイレで何をするか知っていますか。
「ちょっと待ってくれよ、小学生でも知っているよ」
という声が聞こえてきそうですが。
「お手洗い」というくらいですから、手を洗う。
あるいはまた小用を足す。
むかし、小用の後で手を洗うか、小用の前に手を洗うかの、
論争があったものです。人の好みは様ざまで。

さて、トイレにはたいてい鏡が付いてますね。
ネクタイを直し、髪の乱れを直す。
さっき食べたヤキソバの青ノリが
歯にくっついていたならちゃんととっておく。―
これはトイレという個室だからこそできることで、
トイレ以外でやったなら
ちょっとヘンな人になってしまうでしょう。

髪にクシやブラシを通すと、
1、2本抜け毛が落ちるかも知れません。
フケだって落ちるかも知れません。
そうじゃなくても肩や背は自分の目がとどきにくい場所なのです。
トイレでは一度上着を脱いでみる。
それで肩や背中のフケなどを丁寧に払っておきましょう。

手の洗い方ひとつとっても、いろいろなやり方があります。
私はあらかじめハンカチを胸ポケットに移しておきます。
こうしておくと、濡れた手でも服を濡らすことなく
ハンカチを取ることができます。
私の友人は備えつけの液体石けんが嫌いだといって、
常に紙せっけんを持ち歩いている男がいます。
本当に十人十色ですね。

それはともかくとして、
自分自身の服装をチェックする場所でもあるトイレは
もっと有効に利用しようではありませんか。

トイレで最後にすることが、もうひとつあります。
それは洗面台を軽く拭いておくことです。
たとえば使い捨ての紙タオルがありますね。
これで手を拭いた後、さっと洗面台をきれいにしておく。
たったそれだけのことで、
次に使う人の気持が大きく変ってくるはずです。
飛行機のトイレでは比較的よく行われていることですが、
良い習慣はもっと一般にも広げようではありませんか。


←前回記事へ

2002年11月12日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ