服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第59回
スエードの手袋が似合う男になりましょう

手袋の上手な買い方を知っていますか。
それは手にぴったりと合う手袋を求めることです。
たぶん、「当り前じゃないか」とおっしゃることでしょう。
でも、当り前のようで当り前ではないのです。

手袋はたいてい革製で、革は使っているうちに伸びる。
つまりほとんどの人はゆるすぎる手袋を使っているのです。
手にゆるい手袋は見た目に美しくないだけでなく、
外気が入りこんでくるためにそれほど温くない。
これではなんのために手袋をはめているのか分からない、
ということにもなります。

最初に手袋を買う時は、
ようやく指をはめることができるくらいに、
窮屈なものでちょうど良いのです。
むかし手袋専門店では、ストレッチャーという特殊な道具で、
客の指が通るよう、少しずつ拡げながら合わせたものです。
かなり窮屈な手袋でも、
指が通る以上は必ず伸びるものですから、
心配することはありません。

数多い手袋のなかでもとくに上品な印象を持つものに、
スエードの手袋があります。
おしゃれの小道具としてぜひ一度試してみて下さい。
もし、コートに胸ポケットがある場合には、
ここに脱いだ手袋を差して、
ポケッチーフ代りにあしらうこともできるでしょう。

スエードの手袋は美しいものですが、
ひとつだけ欠点があります。
それは表面の毛足が乱れやすいことです。
傷つきやすく、極端な場合には毛足が消えて、光っています。
でも、これはごく簡単に手入れができるのです。
消しゴムで汚れを取るのです。
目の粗い「砂消し」のほうがより効果的かも知れません。
消しゴムを使ったあとは、柔らかいブラシで
毛足の流れを整えておけば良いのです。

本当に汚れがひどい場合には、洗濯も可能。
ぬるま湯にシャンプー剤をとかし、
両手にはめた手袋を、ゆっくりこすり合わせます。
丁寧にリンスをした後、形を整えて自然乾燥させれば、
かなり新品に近くなるはずです。


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2002年11月21日(木)

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