服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第60回
ツイード・ジャケットの愉しみ方

ツイードの語源を知っていますか。
ツイードの本場はご存知スコットランドで、
昔は土地の言葉で”トゥイール”tweelと呼んでいました。
これをはじめてロンドンの生地商に送った時、
ついうっかりと”トゥイード”tweedと読み違えてしまった。
ここから今のツイードが生まれたわけです。
1825年頃の話です。

ツイードはちょっと日本の紬(つむぎ)に
似ているかも知れません。
本来は自給自足のために各家庭で織ったのがそのはじまりで、
手染め、手紡ぎ、手織りが基本となっています。
またウィスキー同様、
泥炭(ピート)の香りのするものが本物だと言われたものです。
当時の暖房に泥炭(ピート)を使っていたからでしょう。
それはともかく温かくて丈夫な生地といえば、
ツイードを思い浮かべて下さい。

ツイードの用途は際限ないほどですが、
入門者としてはやはりジャケットが最適でしょう。
生地はなるべく目の詰んで、
しっかりしたものが上質とされます。
ツイードはまず例外なく多色使いのミックス調が
多いものですから、
この中の一色からトラウザーズの色を選ぶのが常道でしょう。
この上下の組合せが決まれば、
上下の下はまったく自由に愉しむことができます。
タートルネック・スェーター、
ウールやコーデュロイのスポーツ・シャツ・・・などなど。

ツイード・ジャケットにぜひ加えて頂きたいのが、
カシミアのマフラーです。
ジャケットの上に、あるいはまたジャケットの胸元に
温くマフラーをあしらう。
時と場合によってはコートがなくても街を歩けるくらいです。
上着の襟を立てて、
その上からしっかりとマフラーを巻く方法もあります。

ツイード・ジャケットによく似合うものに、
レザー・ボタン(表面を革で包んだボタン)があります。
時に応じて、好みのボタンにつけ変えて、
ジャケットの表情をさまざまに変えてみるのも
愉しみ方のひとつでしょう。


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2002年11月22日(金)

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