服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第86回
30歳前後の「紳士入門」

読者の石川正人さんから
30歳前後の社会人に向けて「紳士入門」として
貴重なご提案をいただきました。
ご要望、ご提案、大歓迎です。

「男はカッコ」実は私としては
特別の年齢を想定しているわけではありません。
あえて申しますなら「大人の男」といったところでしょうか。
より多くの人たちに楽しんで頂けたならと、
少し欲張っているのかも知れません。

しかし今後はご指摘のように、
「30歳前後の社会人」にも的を絞ることを
心がけたいと思います。
その意味でもこれからもご期待下されば幸いです。

さて、パンツの裾口をどうするか。
なかなか鋭い視点だと思います。
身近な問題であると同時に、今さら人には面と向って
訊きにくい問題ではないでしょうか。

シングルの裾か、ダブルの裾か。
日本の紳士服店では俗に「カブラ」とか
「マッキン」とかの名前で呼んでいます。
英語ではふつう”カフ”cuffと言います。
あるいは”ターンナップ・カフ”。
折返しのないものは”カフレス”です。

ごく一般的なビジネス・スーツの場合、
折返しをつけるほうがクラシックだということになっています。
折返しを省略するのはモダン派なのです。
つまりクラシック好みか、
それともモダン好みかという問題なのです。
ただし、今でもヨーロッパの洒落者の間では、
カフ付きトラウザーズのほうが正統的で、
格が上(?)だと考える傾向があります。

一方、フォーマル・ウェアの場合は
絶対に折返しは付けません。
これはモーニング・コートの縞ズボンから、
タキシードのドレス・パンツに至るまで、例外はありません。
結婚式などに着て行く、
ダーク・スーツやブラック・スーツの場合も
折返しを付けることはとてもとても恥しいことなのです。


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2002年12月18日(水)

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