服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第87回
中間的なファッションの充実

読者のParolemerde2001さんから
ダンディズムに関して貴重なご意見をお寄せいただきました。
今後なにかと参考にさせて頂きたいものです。

フォーマルとカジュアルの
中間的なファッションについてもまったく同感です。
一応、私はプロということになっていますが、
それでも迷ったり、悩んだりすることもあります。
単にスタイルの在り方としての難しさだけでなく、
時代環境のなかでなにがどのくらい受け入れられるのか、
という問題もあります。

ジーンズひとつとっても、
昔は不良の穿くものと考えられていました。
が、今ではレストランに穿いてゆくことも
不可能ではありません。
これはデザインやスタイルの問題ではなく、
社会容認という問題がからんでいます。

それはともかく、私自身の研究課題(?)として、
ひとつのスタイルでフォーマルもビジネスもカジュアルも
貫通できはしないかと考えたりすることがあります。

たとえば新しいスリーピース・スーツはどうか。
黒いサマー・ウールで上着とシャツとパンツを作ってもらう。
つまり上着もシャツもパンツもモヘアなどで仕立てる。
一年中、ずっとこれで通す。
カジュアルな場面ならシャツとパンツだけ、
もし必要とあればネクタイを結び、上着を羽織る。
もちろん寒い時にはコートを重ねれば良いわけですから、
問題ないでしょう。

この新型スリーピース・スーツを何セットか用意しておき、
毎日着換え、シャツなどは時折クリーニングに出す。
こうすれば一年365日、今日は何を着ようかと
迷うこともないわけです。
「彼はいつもアレだからネ」
と人びとに認めてもらえれば、もう成功。

でもね、今度なにをどう着ようか、
と悩むのも実は人間的な愉しみなんですよね。


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2002年12月19日(木)

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