服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第101回
着くずれをおそれないために

着物の、着くずれを防ぐ方法を知っていますか。
着物の長所は数々ありますが、
その一方での短所は着くずれてしまうことでしょう。
もし、着くずれることがなかったなら、
もっと着物愛好家がふえるのではないか、
と思えてくるほどです。

着物は着くずれるもの、とあきらめていませんか。
いえいえ、そんなことはありません。
たとえば演劇の舞台、
時代劇の役者が大立まわりを演じても
ほとんど着くずれということがありません。
あれは専門の着つけ師が着せているからなのです。

つまり着物はその着つけ方次第で
かなり着くずれを防ぐことができるのです。
まず初心者の反省点としては、
ゆとりを考えずに着てしまうことでしょう。
身体は当然動くものです。
でも、着物を着るときには直立不動になってしまう。
どうもここに問題がありそうです。
あらかじめ身体が動くことを考えて、
少しゆとりを作りながら着る。
そして帯などの締めるところはしっかりと締める。

もう少し具体的にお話しましょう。
最初、下前を下に、上前を上に重ねる。
この時、完全に下前で身体を包んではいけません。
下前の左端を少し右側に折返してから、上前を重ねる。
こうしておくと、格段に裾さばきが良くなります。
身体に巻きつけてしまっては、
足が思うように前へ出せなくなってしまうでしょう。

襟合わせについても同じことが言えます。
きちんと整えたい気持は分りますが、
ゆとりを考えていないと、結局は着くずれてしまう。
と同時にこの襟合わせをどう演出するかによって、
ほぼ着物の雰囲気も決ってきますから、とても大切なのです。
一般に襟合わせが狭いとドレッシーな感じ、
逆に広いと粋な感じとなっています。

でも、結局は着くずれをおそれることなく、
どんどん着物を着てみることです。
回数を重ねるうちに必ず着方が上手になるでしょう。


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2003年1月2日(木)

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