| 第107回よし、モーニング・コートを着てみよう
 昼間の正装にはなにがふさわしいか知っていますか。正解はやはりモーニング・コートということになるでしょう。
 かつてはフロック・コートだったのですが、
 今ではほとんど廃れてしまいました。
 第一、フロック・コートをきちんと仕立てられる職人は
 もう居ないのではないでしょうか。
 それはともかく、モーニング・コートの着方について。まず白のドレス・シャツを着る。
 襟はウイング・カラー(立ち折れ襟)が原則とされますが、
 ターンダウン・カラー(並襟)でも構いません。
 ただし袖口にはフレンチ・カフ(ダブル・カフス)に
 カフス・ボタンを飾ることになっています。
 ネクタイはシルバー・グレーのアスコット・タイ(礼装用の幅広ネクタイ)が正式です。
 ただし現在では同じ色のフォア・イン・ハンド
 (ふつうの結び下げネクタイ)を用いることが多いようです。
 チョッキはパール・グレイの礼装用にします。生地はフラノ地などが中心です。
 でも、デザインは比較的自由で、
 シングル前でもダブル前でも、
 あるいは襟付きでも襟なしでも結構です。
 そしてドレス・トラウザーズは言うまでもなく、縞ズボン。
 明るいグレー・トーンが若者向きで、
 深いグレー・トーンが年輩向きという説もあります。
 縞ズボンには折返しは絶対につけないことになっています。また必ずサスペンダーを使うこと。
 第一、最初からベルト通しは付いていません。
 モーニング・コートの着こなしのコツはシルエットの表現にあります。
 とにかく19世紀の服装なので、
 ウエスト部分をはっきりと絞ったスタイルで
 着るようになっているのです。
 肩幅は若干広めにして、
 腰の辺りはフィットさせるように着こなすことを
 おすすめします。
 モーニング・コートは脇ポケットがなく少し不便かも知れません。
 これを解消するためにスカート(裳「ころも」)部分に
 隠しポケットを作ることになっています。
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