服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第109回
ブルー・モーニング・コートのすすめ

結婚式の仲人を受けた時、
何を着るべきだと思いますか。
ひと昔前なら和服で、
紋付の羽織袴姿というのが正解だったでしょう。
でも、今は洋服のほうが多いのではないでしょうか。
当然、モーニング・コートを着る。
グレー・モーニングが新郎用だとするなら、
結局のところ黒のモーニング・コートになってしまうのです。

実は、今から15年ほど前、
同じ問題で私自身迷ったことがあります。
つまり今の日本にはなぜ素敵な昼間の礼装がないのだろうか、と。
悩んだ末に私が出した結論はこうでした。
ブルー・モーニング・コート。

やや光沢のあるモヘア地で、モーニング・コートの上着、
チョッキ、トラウザーズを仕立ててもらったのです。
むろん色は深いブルーで、
いわばモーニング・コートのスリーピース・スーツが完成。
これに白いドレス・シャツを着て、
シルバー・グレーのネクタイを結んで仲人役を果したのです。

なにも私はここでブルー・モーニングが素晴らしい、
と自画自讃しようとしているのではありません。
今の、ごくふつうのモーニング・コート印象が
あまり良くない。
そのために新しいブルー・モーニング・コートでの新要素が
あっても良いのではないでしょうか。

もともとモーニング・コートは立派な男の服装でした。
でも明治の時代から今日までの長い間に
あまりにも日本式に改悪されすぎた一面があります。
そしてもう一方では、
本来の正装であるフロック・コートは
もう過去の服装となっています。
つまり、今、昼間の晴れの時に着る正装はないのです。
これは問題ではないでしょうか。

新郎はこれから大いにグレー・モーニングを着るべきです。
そして参列着もブルー・モーニングを一例として、
もっと楽しい、新しいスタイルの
フォーマル・ウェアを着ようではありませんか。
とにかく正装といえども時代によって
変化してゆくものなのですから。


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2003年1月10日(金)

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