服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第113回
カントリー・ジャケットを楽しむ

ハッキング・ジャケットというのを知っていますか。
“ハッキング”hackingは広く
「乗馬」「馬での軽いかけ足」という意味があります。

ハッキング・ジャケットは乗馬服の一種なのですが、
競技会に出場するほど正式なものではありません。
あくまでも自分の楽しみで馬に乗るときに
着る服装という印象のものです。

たいていはツイード地で仕立てられますが、
時としてコーデュロイ(コールテン)や
スエードということもあります。
しかしデザインとシルエットには
はっきりとした特徴があります。
まず上着丈はかなり長く、
ウエストは高い位置でシャープに絞られる。
腰から裾にかけては軽くフレアーが配される。
このようなシルエットは
もともと馬を乗るにも都合が良かったのでしょうが、
スタイルとして眺めても実に美しいのです。

さて、デザインですがボタン位置が高く、
Vゾーンが狭くなっています。
前ボタンの数は3個。
場合によっては4個ということもあるでしょう。
脇ポケットはたいていスランテッド・ポケット
(斜めのポケット)になっています。
時として胸ポケットにもフラップ(雨蓋)がつく。
そして必ずといって良いほどチケット・ポケット
(右側の小さなポケット)があしらわれるのです。
その昔、ここに小銭や切符を別にして入れておいたために、
チケット・ポケットとかチェンジ・ポケットとか
呼ばれるのです。

ハッキング・ジャケットをそのまま街着にしてしまうのは
ちょっと難しいかも知れません。
でもハッキング・ジャケットは
カントリー・ウェアの王者のような風格があり、
これをイメージさせるスポーツ・ジャケットがあっても
良いのではないでしょうか。

とりあえずウエストを軽く絞り、
斜めの脇ポケットにチケット・ポケットを添えたりすると、
かなりカントリー気分があるはずです。


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2003年1月14日(火)

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