服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第134回
重ね着コツのコツ

今、下着を何枚重ねていますか。
1枚2枚3枚・・・。
下着だけに限らず重ね着は防寒対策に有効な手段です。
乱暴な言い方をすれば、寒いと感じたならとりあえず
服を何枚か重ねれば良いわけです。
でもこの「重ね着」にも賢い方法があります。

ひと言で表現すれば「上に厚く、下に薄く」ということです。
下へ下へと重ねていくのではなく、上へ上へと重ねる。
―なにか禅問答のようですが、これは本当のことです。

たとえばワイシャツを中心に考えてみましょう。
ワイシャツの下にウールの下着を重ねれば
たしかに温かくなります。
でもこれは下の重ね着ですね。
これとは逆にワイシャツの上に
スェーターを重ねるとしましょう。
これは上の重ね着です。

部屋のなかに入り、温かくなってきたとき、
下の重ね着の場合、失礼して1枚脱ぎます。
ということは出来ません。
ところが上の重ね着の場合なら、
スェーターを脱いでワイシャツになることは可能でしょう。

つまり堂々と脱ぐことのできるもので
重ね着をするのがコツなのです。
これが「上へ上へと重ねる」という言い方の
本当の意味なのです
あるいは「上に厚く、下に薄く」ということなのです。

もう少し具体的な説明をしましょう。
通常の服は室温のなかでちょうど良いくらいに調節する。
つまりそれほど厚着をする必要はありません。
ことに下着は薄くしておいたほうが良いでしょう。

でも外に出ると寒い。
その時にはしっかりと防寒対策をする。
帽子、マフラー、手袋、コート。
なかでもコートは薄着の上に一着羽織って
充分温かいものにします。
結局のところ、本当に温かいコートを上手に使うことが、
重ね着上手の名人なのです。

裏に毛皮をあしらったコートはそれ一枚で温かい。
あるいは極上のダウンだけを詰めたコートも同じこと。
さあ、どちらを選びますか。


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2003年2月4日(火)

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