服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第135回
さあ、温かいコートを見つけよう

カシミアのコートを着たことがありますか。
カシミアは繊維の名前ですから、
なにもコートとは限りませんね。
身近かなところではマフラーがあるでしょうし、
あるいはカシミア製のブレザーもあります。

カシミアはカシミアやぎの毛を
原料とするところからその名前があります。
もともとはインド北西部の地名“カシミール”
kashimirが語源です。
現在ではインドはもとより、チベット、モンゴル、
イランなどでも生育しています。

なによりの特徴は一本の繊維が細く、長いこと。
その直径は約15ミクロン。
また糸の長さは長いものでは30数センチにも達します。
よくカシミアは軽くて、温かい生地である、
と言われるのもここに源があるのです。
生地がより緻密で、
より多くの空気層をつくってくれるからなのです。

シングル前のコートよりも
ダブル前コートのほうが、より温かい。
またショート・コートよりも
ロング・コートのほうが温かい。
より広い布地で、よりしっかり体を包むのですから、
これは当然でしょう。
でもその分コートが重くなり、
場合によって肩が凝る結果ともなります。

そこでカシミアのような上質のコート地が
貴重品になってくれるのです。
つまり同じ面積であれば、
軽いコートのほうがより良質のカシミア地が
使われているということになります。
事実、ひと口に「カシミア」と言っても
その品質にはピンからキリまでがあるのです。
より軽くて温かいコートを求めようとするなら、
上質のカシミア地を見分ける眼をもつことが
必要になってきます。

でも、なにごとも上には上があるもので、
ヴィキーナはカシミアよりもさらに細い繊維なのです。
約13ミクロンと言われています。

カシミアよりもさらに高地に生活する特殊な動物で、
おしゃれで、余裕ある人にとっては
貴重な布地となっていることはご存知の通り。


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2003年2月5日(水)

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