服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第150回
揃える着こなし、外す着こなし

スェーターを着るとき、
どんなパンツを組合わせていますか。
もちろんその日の気分や
スェーターの種類によっても違ってくるでしょう。
でも、スェーターにもっともよく合うトラウザーズを
ひとつだけあげるとするなら、
ダーク・グレーのフラノ地のものです。
「フラノ」は日本語、英語では“フランネル”
flannel と言います。
ことに“フランネルズ”と複数形で呼んだ場合には、
「フラノ製のパンツ」の意味になります。

では、なぜスェーターにはフラノのパンツがよく合うのか。
それはテクスチュア(生地の表面感)が
スェーターとよく似ているからでしょう。
どちらもソフトで、毛足の長い感じがあって、
質感での共通点を持っているからです。

フランネルに似た素材を他に探すとすれば、
別珍「べっちん」(ベルベッティーン)スエードなども
その仲間と言えるかも知れません。
それはともかく、生地の質感を揃える着こなし方もあるのです。
もちろんあえて質感の違うもの同士を
組合わせることもあるでしょう。
スェーターにチノ・パンツ、スェーターにジーンズ、
スェーターにレザー・パンツ。
これらはスェーターとの質感が
はっきり違っているところが面白いわけです。

揃えるか、揃えないか。
これを着こなし用語では“ミックス&マッチ”と言うわけです。
もし、質感を揃えた場合には、
他の要素ではっきり違ったものにするのが常道となっています。

たとえばオフ・ホワイトのカシミアのスェーターに
フランネルのパンツを組合わせたとする。
この場合に、同じオフ・ホワイトのパンツでは
コントラストが表現できない。
むしろ黒に近いダーク・グレーのパンツが望ましいのです。

スェーターとパンツに限らず、
なにかでそろえて、なにかで外す。
―これがミックス&マッチの基本で、
すべての着こなしに共通する極意なのです。


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2003年2月20日(木)

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