服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第151回
旅支度はジャージー・ブレザーで

スェーターとジャージーの違いについて
考えてみたことがあります。
スェーターとジャージはどう違うか、
あるいは同じであるのか。

たとえばフランス語で“トリコ”tricot といえば
「スェーター」であり「ジャージー」でもあります。
また英語でも時と場合によっては
“ジャージー”が「スェーター」を指すこともあるのです。

すでにお話をしましたように
“ジャージー”jerseyは島の名前から生まれた言葉です。
イギリス海峡の島、ジャージーに因んでの名前なのです。
ここでは15世紀から漁師の服として
手編みの服が着られていました。
すぐ近くの“ガーンジー”Guerseyも
同じような事情だったのです。
そこでむかしは“ジャージー”とか“ガーンジー”といえば、
今の「スェーター」を意味したわけです。

その後、スポーツ・ウェアとして使われたり、
ココ・シャネルによってモードとなったこともあります。
このような歴史のなかで、
もっとも基本的なメリヤス編のことを
“ジャージー”とも呼ぶようになったのです。
さらにはこの編み方を手ではなく、
機械で編み上げたものを「ジャージー」と名づけるようになる。
古い意味と新しい意味、そう言っても良いでしょう。

編地としてのジャージーにも、いくつか種類があります。
よくシャネルが使ったのはシルク・ジャージーで、
もちろんウール・ジャージーもあります。

今、私が欲しいなあと思っているのは、
ウール・ジャージーのブレザーです。
黒や紺のジャージーで、タブル前、
メタル・ボタンが付いているかも知れません。
ウール・ジャージーですから、
ほとんど一重(ひとえ)仕立てに近く、
軽くてシワになりません。
スポーツ・シャツやスェーター、
どんな服の上にも楽々と羽織ることができるでしょう。
ことに旅行着としては最近だと思います。


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2003年2月21日(金)

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