服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第164回
フレッシュマンにはハーフ・ウインザーが最高

フレッシュマンに最適のネクタイの結び方は
どんなものだと思いますか。
結論を先に言いますと、“ハーフ・ウインザー”です。
時に“エスクァイア・ノット”と呼ばれることもあります。
“ウインザー・ノット”を少し省略した結び方とも
言えるでしょう。

ネクタイの細いほうの一端を、左側に短く垂らし、
太いほうの一端を長く垂らす。
そして両者を胸元で交差させる。
つまりネクタイの小剣の上に大剣を重ねるわけですね。
さてその次に、大剣を交差位置に一度からめてから、
ループを作り、そのループの中に大剣を通して結ぶ。
ごく簡単な説明ですが、
これが“ハーフ・ウインザー”と呼ばれる結び方なのです。

プレーン・ノット(フォア・イン・ハンドとも言います)
では結び目が細すぎ、
逆にウインザー・ノットでは大きくなりすぎる。
そんな場合には両者の中間である
“ハーフ・ウインザー”が最適でしょう。
と同時に、どんなネクタイ、どんな襟型にも合う
応用範囲の広い結び方でもあります。

英国の統計学者、トマス・フィンク・ヨン・マオの著した
『ネクタイの数学』(新潮OH文庫)によれば、
ネクタイの結び方には85種類があるそうです。
私自身、それを全部試したわけではありませんが、
フレッシュマンとしてはとりあえず
“ハーフ・ウインザー”を手際よく結べるようであれば、
毎日の出勤にまったく問題ないでしょう。

なぜ、わずか一種類の結び方で良いのか。
それはフレッシュマンの場合、
一種類であるほうが、結び方の慣れがはやいからです。
それぞれのシャツやネクタイに合わせて
結び方を変えようとすると、時間ばかりかかって、
それほど上手には結べない結果になるからです。

同じ結び方を毎日、丁寧にやっていれば、
そのうちに暗闇のなかでも自然に手が動くようになるでしょう。
こなってこそ、堂々と胸を張って
「私はネクタイが結べる」と言えるのです。


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2003年3月6日(木)

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