服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第168回
より良いシャツをより長く着る方法

一枚のシャツはいったいどのくらい長く着られると思いますか。
3年、5年、7年・・・。
もちろんこれは様ざまな条件によって違ってきます。
まず着用回数やその扱い方によっても異なってくるでしょう。
そして言うまでもなく、シャツの生地の良し悪し、
縫製の良し悪しによっても大きく変ってきます。

一般論として言えば、良質のシャツほど長く着られる。
しかもそのほうが気分も良いし、着心地も良い。
結局は上質のシャツを長く着るほど
得であるということになります。
ただしここでの上質のシャツとは
けっして贅沢なシャツのことではありません。
手の届く範囲で、より良いシャツを選ぼうということなのです。

では、フレッシュマンでも
簡単に見分けられる良いシャツとは何か。
まずよく言われるのは、ボタンを見よということです。
良いシャツには良いボタンが付いている。
プラスチック製でなく、貝ボタン。
それも白蝶貝のボタンが上質とされます。
さらには薄い貝ボタンよりも
厚い貝ボタンのほうが上質である、と考えられています。
ただ過ぎたるは及ばざるごとしで、
あまりに厚い貝ボタンは留めにくい場合もあります。

さて、もうひとつの注目点は、スプリット・ヨーク。
背中の上部にあるヨークを見て下さい。
その中央にあるタテの縫目のあるものが
スプリット・ヨークです。
一応スプリット・ヨークのあるシャツは
丁寧な仕立てがなされていると考えて良いでしょう。

しかしもっとも決定的な見分け方は、縫い方。
針目の細かいものほど上質です。
現在たいていのシャツは二本針のミシンで一気に縫う。
けれどもあえて一本針を往復させる縫い方があります。
“シングル・ニードル・ステッチ”です。
もしどこかにその表示があれば
文句なしに丁寧な縫い方ということになります。
なお針目は、1インチ間に
20目以上の針目があるものが上質とされるのです。


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2003年3月10日(月)

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