服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第180回
どうか脚を組まないで下さい

レストランでの基本マナーを知っていますか。
私はなにも高級レストランの
フル・コースを想定しているわけではありません。
私たちがごくふつうに食事をするカジュアルなレストランでも、
最低限のマナーがある、と言いたいのです。

これも私が実際に見た光景です。
なかなか美味しくて、
小ぢんまりとしたイタリアン・レストランで
食事をした時のこと。
私たちの隣の席で、家族らしい人たちが食事をしています。
ところが息子と娘でしょうか、ふたりの若い男女が、
脚を組んで食事をしているではありませんか。
それも最初から最後まで、ずっと脚を組んだままなのです。
これはいくら何でも、親がちゃんと注意すべきだと思いました。

自宅でくつろぐ時ならいざ知らず、
たとえ食事中でなくても、脚を組むということ自体、
それほど上品なことではありません。
これはよく覚えておくべきです。

まして食事中には絶対に脚を組んではいけません。
難しいことを言うつもりはありませんが、
「握りこぶしひとつ分」という表現があります。
食卓に着いた時、
テーブルの端と自分の身体との間は適度に接近するべきだ、
という教え。
その目安が「握りこぶしひとつ分」なのです。

テーブルと身体が離れていては、
上手に食べることが出来ません。
脚を組んだ場合、どうしても身体がテーブルから離れる。
これでは出発点から間違っているわけです。

テーブル・マナーとか美しい食事の仕方、
ということを別にしても、脚を組むことは不自然だと思います。
人と食卓を組むということは、
「さあ、美味しく食べましょう」と積極的にのぞむべきです。
ところが脚を組んだ姿勢は、
なんだか気持が込っていない感じになります。
もし私の客なら「帰って、寝てなさい」と
怒りたくなってしまうでしょう。

社会に出るための第一歩。
まず脚を組むことを止めましょう。


←前回記事へ

2003年3月22日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ