服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第222回
記憶がよくなる秘密の方法

記憶力は良いほうですか。
私はさっぱり自信がありません。
しかも年齢からくるものではなくて、
資質からくるものだと考えています。
若い頃でもそれほど記憶が良かったわけではないのですから。

そこで少しでも覚えておこうとすると、
ほとんど唯一の手段はメモを取ることです。
では、どんなふうにメモを取るか。

<<日本を今一度洗濯いたし申し候事>>

たとえば本を読んでいて、こんな言葉に出会う。
う〜ん、なかなかうまいことを言うなあ。
よし、今度いつか、どこかで使ってみよう、と思う。

けれどもそれは一瞬のことで、
2日後には忘れてしまっている。
3日後にはその本を読んだことさえ忘れてしまう。
悲しいけれどこれは実際の話です。

今、覚えているうちに急いで言っておくと、
これは幕末の志士、坂本龍馬の言葉で、
芳賀徹著『明治維新と日本人』に出てきます。
ついでのことながら、
私は勝手にこれは名著だと思っています。

さて、今、私がメモを取りたいと思っているその方法。
まず半紙を用意する。
半紙はひとしめ何百円ですから、安いものです。
次に用意するものは、筆ペン。
道具はこれですべて完了。

つまり筆ペンを使って半紙に書いておく。
左脇に小さく、書名と年月日を添えておく。
書いた半紙を入れておく箱があると、さらに理想的でしょう。
時どきこの箱を開けてみれば、
そこには自分の記憶があるわけですから。

もし、筆ペンを使うことに慣れてくれば、
墨汁を使う方法もあるでしょう。
少し上等の筆を一本と、墨汁を用意する。
小皿に墨汁をたらし、筆でメモを取る。
たぶんこれで文字を書くことの楽しさを発見するでしょう。
そうしたら今度は、墨と硯(ずずり)を揃えましょう。

ちょっと筆を手にしただけで、教養は高まり、
記憶は良くなり、文字が上達する。
こんないいことをやらないでおく方法はありません。


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2003年5月3日(土)

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