服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第221回
キャンドル・ディナー

部屋の電気を消したことがありますか。
もちろん夜のことですから、
たちまちあたりは闇になってしまいます。
たったそれだけのことで部屋の印象、雰囲気が
一変してしまうのに驚いてしまうでしょう。

もちろんふだんの私は明るい部屋が好きです。
蛍光灯より白熱灯が好き、
それも直接の灯りよりも間接の灯りが好きです。
光源の種類やその演出法によっても、
大きく気分が変ってくる。
明るさと暗さだけでなく、
灯りにもさまざまな美しさがあることを
心得ておくべきでしょう。

さて、本題に入りましょう。
私はときどき部屋の電気を全部消してしまうことがあります。
最初はただただ暗くて、何もする気にならない、
という困惑さに包まれるだけ。
けれどもしばらくそれに耐えていると、
少しづつ光の存在に気づくようになります。
窓の外からの光、さまざまな電器具のパイロット・ランプなど。
考えてもみなかった光源があることを発見するでしょう。

結局のところまったくの闇ではないのです。
その薄闇のなかでソファーでゆっくりシェリーでも飲んでいると、
気分が落着いて、和らぎ、心のリフレッシュができるのです。

さあ、気分を変えてゆっくり夕食を楽しみましょう。
電気は点けないで、ロウソクの光だけで。
なにも特別な日でなくても良いのです。
山海の珍味ばかりでなくても良いのです。
お気に入りのパンとチーズ、
それにサラダ・スティックだけの
簡単な夕食であったとしても、
おそらく心に残る一夕となるでしょう。

ロウソクはごくふつうのもので良いのです。
あと用意するものはキャンドル・スタンドとマッチだけ。
もし安定感の良いロウソクなら、
キャンドル・スタンドさえ不要かも知れません。
もしふたりでの食事なら、
5、6本もロウソクがあれば充分だと思います。
まあ、テーブルの大きさや人数に合わせて、
あれこれ考えるのも楽しいものです。
ロウソクの光は人の心に火を灯すところがあります。


←前回記事へ

2003年5月2日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ