服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第226回
言葉は難しいものですね

今回は、日ごろご愛読下さっている
読者のNさんから
第218回 美しく「失礼」と言いましょう
について以下のメールをいただきましたので、
お答えします。


■N様にいただいたメール

いつも楽しく拝見させて頂いております。

今回の”美しく「失礼」といいましょう”ですが、
ちょっと理解しにくい内容だったため
”失礼”とは思いますが一言言わせてください。

わたしも迷惑を被ったとき「失礼」と言れることがありますが、
相手の顔をみるとまるで「オレが悪いんじゃない」
と言わんばかりにあらぬ方向をもながら仰る。
こっちの顔は全く見ない。
こういう人が多いですね、”失礼”って言う人。

ごめん、すいませんと言う方は
たいてい頭を下げていらっしゃると思います。

性格が違うと言えばそれまでですが、
本文中の

棚に乗せていた本を取ろうとして、
うっかり座席の客に落としてしまった時にも、「失礼」、
足を踏んだ時にも、「失礼」。

というのはわたしには理解できません。
ましてや何も言わないなんてのは言語道断。

でも、こういう考えの方は
人の過ちはたいして気にしない方なのですね。
人から害を被ると大げさに考える奴は
人にも大げさに謝るということですかね。

ども”失礼”って言ってる方達、
どういうときに”ごめんなさい”っていうんでしょ。
書き殴りっぱなしの文章で失礼しました。
では、これからも”男はカッコ”楽しみにしています。


■出石さんからのA(答え)

ご丁寧にもお便りを下さりありがとうございます。
また日頃からお目通し下さっていることにつきましても、
心からの御礼を申上げます。

お手紙を熟読させて頂き、
深く考えさせられました。
また、大いに反省もさせられました。
「失礼!」というのは私の言葉のクセであるかも知れず、
そのクセによってたとえばN様をはじめとする多くの人たちに、
心ならずもイヤな思いをさせていたのでしょう。
赤面の至りとはまさにこのことであります。
このコラムをお借りして、お詫びしたいと思います。
誠に申し訳ございませんでした。
以後、「失礼!」をはじめとして、
私自身の日頃の言葉づかい、
言葉のクセによりいっそうの注意をするつもりです。

それにしてもN様のご指摘により、
あらためて言葉は難しいものですね。
いや、「言葉」と単純に言い切れない
問題であるかも知れません。
むしろ「語感」にも関連してくる問題でしょう。

たとえば「愛している」という言葉があります。
この言葉をどのくらいの声の大きさで言うのか。
声の調子はどうなのか。表情はどうなのか。
態度はどうなのか・・・。
このように細かく眺めていけば、
同じ「愛している」という言葉であっても、
少しづつ異なった受け取り方があるのかも知れません。

今の世の中を大きく眺める時、
昔にくらべて「言葉」の少ない時代だろうと思います。
けれども私としては無言で行き過ぎてしまうよりは
「失礼」と言葉を発するほうが
良いだろうと考えたのです。
でも「失礼」よりも「ごめんなさい」というほうが
より丁寧であることは間違いありません。

これからは私もなるべく「失礼」の代りに
「ごめんなさい」と言うようにしたいものです。
そしてその時の声の調子、表情、態度などにも
充分心を配りたいと思います。

N様、本当に良いことを教えてくれました。
ありがとうございます。


←前回記事へ

2003年5月7日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ