服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第249回
なんと、ナイト・クリームを使ってみました

男性化粧品は何を使っていますか。
実は私、この件については
あまり立派なことを語る資格がありません。
なぜならこれまでは
ほとんど男性化粧品のたぐいを
使ったことがなかったからです。

朝起きて顔を洗う、髭を剃る。
あとはもうなにか
間に合わせのものをさっとつけて、おしまい。
唯一の例外がシェイヴイング・クリーム。
髪を洗っても整髪料などもいっさいなし。
まったくお恥かしい限りです。
おそらくは若い頃に
それらを使いすぎた反動があったのかも知れません。

ところが最近、ちょっとした異変がありました。
そんな私がなんと
ナイト・クリームを使うようになったのです。
きっかけはちょっとした仕事。
アラミスの「ナイトレスキュー」という
ナイト・クリームがあって、
その宣伝文を書く、という仕事だったのです。

仕事だから使わないで書くわけにもいかない。
そこでサンプルをひとつ頂いて、
自分で実際に使ってみたのです。
ナイト・クリームですから、
夜、寝る前、顔を洗った後に使う。
すると寝ている間に肌の状態を整えてくれるわけです。

ところがこれが効果があった。――
あまり驚くのも失礼というものでしょうが、
朝起きての髭剃りがはっきりとスムースなのです。
「ほお、ナイト・クリームって効くんだ」
というのが実感でありました。
もちろん私に効果があったからといって、
万人に効果があるとは断言できないでしょうが。

私も年相応に、シワもできればシミもできる。
まあ、仕方がないだろうとあきらめていた。
けれども肌の状態が良くなったのは、
どうも気のせいばかりではないようです。
つまり仕事が終ってからも、
今なおずっと使いつづけているのです。

そしてまた、効くか、効かないか、
ということだけが問題なのではないでしょう。
毎夜ひそかに、自分の顔にナイト・クリームをつける
という行為もまた、肌に、心に良いのでしょう。


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2003年5月30日(金)

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