服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第259回
スマートなお見舞について

入院中の友人には何を贈るべきだと思いますか。
入院と聞けばすぐにお見舞という言葉を連想するでしょう。
でも、どんな場合にも
お見舞が歓迎されるわけではありませんね。

もしもお見舞に行くなら、
事前に親しい人に様子を伺っておくことです。
会いたい場合もあれば、
会いたくない場合もあるでしょう。
あるいは一日のうちで何時頃なら会いたい、
ということもあるかも知れません。
とりあえずお見舞の手紙を書くのも
ひとつの方法でしょう。

さて、実際にお見舞に行くとなったら、
何を持ってゆくべきか。
誰もがまず考えるのは、花か果物か、
といったところでしょう。
でも、これが難しいのです。
なぜなら、花はすでに届けられていることがあります。
鉢植えは嫌われるとして、
生花の場合、まわりの人の仕事を
ひとつふやす結果になることが多いのです。

果物や菓子も一般的ですが、
病状によっては食べられない。
食べられたとしても、
数が多くてもてあますことが少なくないのです。
ことに果物は日保ちしないだけに、
やっかいなのです。

少し凝ったところで、本を贈ることがあります。
が、すぐに疲れて読むに読めない、
ということもあるでしょう。
そこで私なりに考えたのは朗読のCDです。
古典名作を、俳優や西友が朗読したCD。
以前は、カセット・テープが主流でしたが、
今はたいていCDになっています。
もちろん肩のこらない、明るい、
元気の出る話などが良いでしょう。

朗読のCDなら、邪魔にならず、
好きな時に好きなだけ聴けて、退屈しのぎになる。
試みに自分で聞いてみても、
さすがに話芸というものが感じられて、奥の深いものです。
結局のところ、自分が本当に好きなものを贈るのが、
贈物のコツであるのかも知れませんね。

以前、私は親しい友人が入院した時、
志ん生の落語のテープを贈って喜ばれたことあります。
実は私、志ん生の大ファンなんです。


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2003年6月9日(月)

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