服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第278回
コールマンの智恵

コールマンという会社を知っていますか。
たとえばコールマン製の野外用小型ストーブ。
ことにツーバーナー・ストーブは
かつて憧れの的であったものです。
野外生活を楽しもうという人なら、
たぶんひとつやふたつ、
この会社の製品を持っているはずです。
今ではストーブのみならず、衣料品も含め、
ほとんどのアウトドア用品を手がけるようになっています。

コールマンそもそものはじまりは、
1900年のことであったと言われています。
すでに100年をこえる歴史があるわけですね。
主人公はアメリカのカンザス州に住む、
ウィリアム・コーフィン・コールマンという若者。
当時はまだ学生であったそうです。

W・C・コールマンが注目したのは、
当時高性能とされた、
同じくカンザス州のアービー・ギリランド社製の
ガソリンランプだったのです。
このランプを仕入れて、
それを必要とする人に売れば、
小づかい稼ぎができると考えました。
若きコールマンはそれを実行したのですが、
さっばり売れない。

そこで戦術を変えて、レンタルにしたのです。
ただし
「もしこのランプが使えなかった場合には、賃料は無料」
とやったのです。
客のほうからすれば、必要な時に借りることができる。
しかも使用不能ならタダ。―
これが当ったのです。大当り。
コールマンはたちまち小金持になる。
さて、コールマンはこのお金で、
ギリランド社のすべての権利を買い取るのです。
1914年には新開発のアーク・ランタンを完成して、
ますます人気商品となる。
後に有名になるコールマン・ストーブが登場するのは、
1920年代のことです。

私は商売のことは分りませんが、
人間と人間のつきあい方も同じではないでしょうか。
ナニヲヤッテモラオウカ、と考えるのではなく、
まず先に「何をやってあげようか」と考える。
見返りなど期待せず、せっせとやってあげる。
この誠意、誠実はいつかきっと
私たちに幸福をもたらしてくれるはずです。


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2003年6月28日(土)

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