服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第303回
1日に3枚のシャツを着てみたい

どちらかといえば汗をかくほうですか。
私自身はたいへんな汗かきです。
ただ単に汗かきというだけでなく、
暑がり屋でもあります。
他の人が適温だと感じて、
涼しい顔をしている所で、
私ひとりが暑そうにして、
汗を流しているということも珍らしくありません。

そんな私が外出の際には
ワイシャツにネクタイを締めて、
上着を羽織るのですから、
ちょっとした苦行と言っても良いでしょう。
近くの駅まで歩いただけで
もう汗をかいているのですから、
まったく恥しいかぎりです。
では、その汗対策はいったいどうしているのか。
まあ、ちょっと聞いて下さい。

これまでに私はいろいろな作戦を実行してみました。
たとえば制汗剤という手もありました。
あるいはアンダー・ウェアに工夫したこともありました。
むかしは野球選手がネット状の下着を着たことがあり、
これを真似たこともあります。
今なら、乾温性や消臭性を売りものにした
アンダー・ウェアも数多く並んでいます。
でも、私の場合、決定的なキメ手とはなりませんでした。

結局、今は元に戻って、
素肌に直(じか)にワイシャツを着る
という月並な着方なのです。
着る、汗をかく、洗う、アイロンをかける、
ということを繰返しやるだけのことなのです。
つまり私の場合はワイシャツを下着だと考えて、
1日に何枚も下着を洗うということに、
妥協点を見つけているのです。

これはひとつの理想としてお聞き下さい。
何枚かの白麻のワイシャツを用意する。
当然オフィスにも着換えのためのワイシャツを用意する。
で、汗をかくごとにワイシャツを着換える。
朝に1枚、昼に1枚、そして夕方1枚。
そうすると1週あたり、
合計でざっと15枚のワイシャツを洗うことになるのです。

でも土曜日に7枚アイロンがけ、
日曜日にも7枚なら、
別に不可能なことではないでしょう。
洗うのは洗濯機がやってくれますし、
想像以上にきれいに仕上ります。
今では私も素人なりに、
なんとかワイシャツのアイロンがけが
楽にできるようになりました。
シワのないシャツが仕上るのは
とても気持の良いものです。


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2003年7月23日(水)

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