服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第322回
顔のデザインを変えてみよう

ヒゲを生やしたことがありますか。
今、私はヒゲを生やそうかどうしようか、
迷っているところなのです。

ところでむかしはヒゲは「蓄える」と言ったものです。
でも今は、「蓄える」ではなく
「生やす」ということが多いように思われます。
私なりの語感としては「生やす」は、
ごく無造作に伸ばしてみる。
一方、「蓄える」はきれいに整えて形をつくる、
という印象があります。
現在の若者は、ちょうど穴の開いたジーンズを穿くように、
不精ヒゲ風を好みますから、
これは「生やす」と表現したほうが
合ってるのかも知れません。

でも私は少し古いのでしょうか。
もしヒゲを生やすなら、
3日に一度は手入れして、
いつも同じようなスタイルを保ちたいと考えるほうなのです。
さて、そうなると大切なのはヒゲのデザイン。
自分の顔にふさわしいヒゲ。
いや、その前にヒゲの生え方にも
それぞれ特徴がありますから、
その個性をよく知っておくべきでしょう。

そのためにはまず不精ヒゲを生やしてみる。
1週間か10日間、まったくヒゲを剃らずにおく。
この不精ヒゲには抵抗がありますが、
ヒゲの癖を知るためには仕方ありません。
顔一面に不精ヒゲが揃ったところで、
自分に似合うデザインを考えてみる。

ムスタッシュ(口ヒゲ)か、ビアード(あごひげ)か、
サイドバーン(頬ヒゲ)か。
漢字ではそれぞれ
「髭」、「髯」、「鬚」の字をあてるようです。
もちろん好みによっては
ヘミングウェイのようなヒゲも良いでしょう。
あるいはダリのようにチックで固めてみるか。
こうしてデザインが決ったところで、
不要な部分を剃ると、思い通りのヒゲが完成するわけです。

ヒゲは必ずしもまっすぐに生えてくれるわけではありません。
そんな時には小さなブラシを使って、
ドライヤーで整えると、より完全に仕上るものです。
誰でも最初ヒゲには抵抗があります。
でもヒゲくらい実に効果的に
顔の印象を変えてくれる道具は
他にはありませんよ。


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2003年8月20日(水)

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