服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第369回
美味しいジャムを見つけました

いちごジャムはお好きですか。
お子様みたい、とおっしゃるのですか。
いえいえ、そう決めつけたものでもありませんよ。
私はジャムもマーマレエドも大好きです。
休日の朝、ゆっくりと起きて、
熱いカフェオレに美味しいクロワッサンを食べるのは、
幸福(しあわせ)というものでしょう。
この時、ジャムをつけるのは邪道でしょうが、
私のひそかな楽しみなのです。
もちろん、ごく普通に食パンを焼いて食べる時にも、
ジャムは採りを添えてくれるものです。

けれども本当に美味しいジャムが、ない。
熱心な人は自分でこっそり作って、
これこそ本当のジャムと満足しているはず。
ゆっくりとジャムを作る時間がある人はうらやましい。
でも最近、「これは悪くないぞ!」と思うジャムを発見しました。
“ダルボ”という名のジャムです。
半ばまだいちごの形をとどめている感じで、
かぐわしい芳香を放って、
けっしてくどくない美味しさなのです。
ラベルに大きく75%と書いてあります。
これは果実の割合なのでしょうか。

珍しくオーストリア製で、
他にオレンジやアプリコット、チェリーなどがあります。
中位のビンに入っていて650円ですから、
私にも買えます。
新しく渋谷にできた「ディーン&デルーカ」
(TEL:3477-4795)で見つけました。
たぶん今、日本で“ダルボ”のジャムを買えるのは
ここだけでしょう。
とにかく可愛いビンに入ったバルサミコが
3万円で並んでいるニクらしいお店ですから、
650円で特別安く思えてしまったのです。

“ダルボ”のジャムを見つけたので、
今から冬がくるのが待ち遠しい。
これを使って絶対にロシア紅茶を作ってみようと思っています。
つまりそのくらい美味しい。
もうほとんど煮出してしまったかのような紅茶を、
ジャムにほんの少しウォッカを落とした上に、注ぐ。
で、両手で抱え持って、熱い熱いと騒ぎながら飲んでみたい。
実はロシアにはロシア紅茶の習慣はないそうですが、
この両極の出会いを楽しむロシア紅茶、
私は大好きです。


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2003年10月6日(月)

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