服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第388回
ポケットと鞄の使いわけ

今回は、日ごろご愛読下さっている
読者の藤井様から質問メールをいただきましたので、
ご返答を掲載させていただきます。


■藤井 様にいただいたメール

出石様

毎日楽しく拝見させていただいております。

私が常日頃気になっていることがあります。
それは、財布や鍵などの小物は、
普段どのように持ち運ぶべきか、ということです。

紛れもなく、スーツのポケットには
何も入れないほうがシルエットがよいですし、
型崩れもしにくいので理想的なのですが、
財布などの小物は持ち歩かざるを得ません。

私は、あまりポケットに物を入れたくないので、
なるべく鞄に入れるか、
手で持つということにしておりますが、
なかには鞄を持つのが嫌なので、
嵩張ってもポケットに入れるという人も
少なくないと思います。

そこで、財布、鍵、携帯電話等の小物について、
出石さんが日頃どのように持ち歩いていらっしゃるか、
是非教えていただけないでしょうか。
何か格好イイ方法がもしおありでしたら、
何かの形で教えていただければ幸いです。
今後ともコラムを楽しみにしております。
お体には何卒お気をつけ下さい。

藤井


■出石さんからのA(答え)

ご丁寧にお便りを下さり
ありがとうございます。
また、日頃ご愛読頂いていることにつきましても、
重ねて御礼を申上げます。

藤井様はポケットにはあまり物を入れたくない、
と考えていらっしゃるようですね。
これはおしゃれな男性に
共通の信念のようなものでしょう。
古い話ですが、
ケイリー・グラントの明言にこんなのがあります。
「私のポケットには車のキィと小銭しか入っていない」
もちろん理想としてはそうでしょう。
でも、現実にはどうしても持ち歩きたい小物がふえてしまう。
たいていの男は、
この理想と現実の間で悩むのです。

さて、私自身の場合。
あまり参考にはならないかも知れませんが、
一応ご質問にお答えするつもりです。
財布、ハンカチ、鍵、小銭、名刺・・・。
これらはすべてポケットに入れて持ち歩きます。
財布、ハンカチはパンツのヒップ・ポケットに。
鍵と小銭はパンツの左右のポケットに。
名刺は上着の胸ポケットに。

だいたい以上が基本で、
それ以上の小物を必要となる場合には、
小型のショルダー・バッグを持つことになります。
では、携帯電話はどうするか、
ノート型パソコンはどうるか、
CDプレイヤーはどうするか。
まったくお恥ずかしい話なのですが、
私はそれらを持っていません。
なんとも参考にならない旧式人間なのです。

まあ、それはともかく、
男の服で比較的モノを入れても良い場所は、
上着の胸ポケットとパンツの尻ポケットです。
逆に絶対にモノを入れてはならないのは、
上着の左右の脇ポケットです。
これは言うまでもなく、
型崩れしにくいポケットと、
型崩れしやすいポケットの違いがあるからです。

結局のところ、
ポケットと鞄とを上手に使い分ける
ということになります。
柔らかく、嵩張らず、小型のショルダー・バックがあったらなあ、
といつも思っています。
それもスーツの鞄とカジュアル・ウェアの鞄と
最低2種類の鞄を使い分けたい。―
こんなふうに考えることもおしゃれの楽しみなのです。


←前回記事へ

2003年10月25日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ