服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第389回
おしゃれなガラスの落書き

ふだんペンを使って文字を書くことがありますか。
たとえば万年筆で手紙や葉書を書いたり。
今はEメール全盛の時代で、
万年筆を使う機会は少なくなってしまいました。
でも、たまには手書きも気分が変って良いものです。
とくに考えがまとまらないような場合、
好きな色の紙に好きな色のインクで
落書きをしているだけで、
ふっと名案が浮かんだりすることがあります。

私は商売上、原稿用紙に万年筆ということも
珍しくはありません。
ということはFAXでそれを送るわけですね。
まあFAXによるのでしょうが、
白い紙に黒インクの組合わせが読取りやすいようです。
しゃれたつもりでサックス・ブルーの用紙に
ターコイズ・ブルーのインクなんかで書くと、
FAXとして相手に届いた場合、読みにくい。
で、結局、仕事の原稿は白い紙に黒インク
ということになってしまいました。
私は少しこれが不満なのです。
自己満足といわれるならその通りでしょうが、
もっと美しい紙に
もっと美しい色のインクで書いてみたい。

そんな時に見つけたのが、ガラスペン。
読んで字の通り、ガラスで作ったペン。
これなら好きな色のインクを選べる。
書き心地もなかなかで、
思ったよりもインクの保ちも良い。
万年筆が一般化する以前には
実用品であったわけですから、当然でしょう。
ガラスペンの良さを再認識させられてしまいました。

ガラスペンは1本1本、
ベテランの職人が手づくりで仕上げるのだそうです。
それで1本4千円くらいですから、
けっして高いとはいえないでしょう。
今ではこれを作るのは1軒だけになってしまったそうです。
佐藤工業所(TEL:3873-1564)がそれです。
もちろん「伊東屋」(TEL:3561-8311)でも売っています。

インクは一応薬品ですから、
万年筆の場合、あまり混ぜるのは好ましくないのです。
洗うのも大変ですし。
ところがガラスペンなら、
いつでも好きな時に好きな色を使えるのが利点です。
さあ、楽しい落書きをはじめましょう。


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2003年10月26日(日)

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