服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第395回
ベスト着こなしの秘訣

今回は、日ごろご愛読下さっている
読者のC.O様から質問メールをいただきましたので、
ご返答を掲載させていただきます。


■C.O 様にいただいたメール

いつも楽しくコラムを拝見しています。

朝晩の空気もひんやりとしてまいりまして、
いよいよ、おしゃれの時期到来といった感じです。

さて、ひとつご質問です。
それは、スリーピースのベストについてです。

ジャケットのボタンをとめた場合、
ベストはジャケットのVゾーンからチラ見せするがいいのか、
ジャケットに隠してしまうのがいいのか
どちらのスタイルが正統なんでしょうか。

ここ数年ジャケットのVゾーンが狭い
三つボタンが主流となっていますので、
なおさら、悩んでしまいます。

追伸
ところでショルダーバッグをお探しとのことでしたが、
http://www.rakuten.co.jp/takuminowaza/462668/
はお勧めですよ。


■出石さんからのA(答え)

ご丁寧にお便りを下さりありがとうございます。
また、日頃ご愛読頂いていることにつきましても、
心から御礼を申上げます。

スリーピース・スーツのベストについて、
お答えします。
ごくふつうにスーツを着た場合、
上着のVゾーンから、
ベストの存在がはっきりと分るのが、
正しい着こなし方です。
スリーピース・スーツであるにもかかわらず、
ベストがまったく見えないようでは、
なんのために組合わせてあるのか意味がないからです。

そのようなわけですから、
上着のVゾーンが狭い場合は、
意識してベストのVゾーンも狭くすることになっています。
ダブル前の上着の場合も同じような配慮をします。
これは上着のボタンを留めようが、
外そうがまったく変りはありません。
常にベストは外から見えていて良いのです。

では、なぜそのように考えるのか。
これはむかしの男の服と関係があります。
むかしとは17世紀、18世紀のことです。
かつての男の上着は
まるでコートのような感覚で、
必ずしもすべてのボタンを留めて
しっかり着たわけではないのです。
羽織のような感じで、
数多いボタンも留めないことが多かった。
でも、その一方で、シャツを人目にさらすことは
恥かしいことだと考えた。
つまり上着をより自由に着るためには、
ベストが必要不可欠であったのです。
ベストがあるからこそ、シャツを見せることなく、
美しい着こなしが可能でありました。

ところで上手なベストの着方について。
ベストは心地良いフィット感が身上のものです。
言い換えればルーズすぎるベストには
あまり魅了がありません。
もちろんフィットすぎるのはシワが出来るだけです。
適度なフィット感が
ベストをより美しく見せるための秘訣だと思います。
シングルのベストはたいてい6つボタンですが、
一番下のボタンは外しておくのが、
おしゃれなマナーであることはご存知の通りです。

ショルダーバックの情報をお教え下さり
ありがとうございます。


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2003年11月1日(土)

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