服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第396回
賢い替上着の着こなし方

替上着を何着持っていますか。
たとえばツイードなどの
スポーツ・ジャケットのことですね。
正しくは“スポーツ・コート”ですが、
最近では「スポーツ・ジャケット」と呼ぶことが多いようです。

私の場合、ほんとうに愛着があるのは
1着か2着くらいです。
でも、それで充分だと思います。
とくに替上着は量より質。
毎日でも着たいような1着があれば
小さな幸福(しあわせ)が得られるでしょう。

毎日のように着たくなる替上着。
それは素材が上質で、
しっかりしていることに加えて、
シンプルなデザインであること。
大胆な色柄よりも、
ほとんど無地に見えるような控え目な柄のほうが、
結局は着る回数が多くなるはずです。

では、毎日でも着たい替上着に、
何をどう組合わせるか。
ごく常識的に考えて、
スポーツ・シャツと替ズボンということになります。
もちろん場合によっては
タートル・ネック・スェーター
ということもあるでしょう。
あるいはスポーツ・シャツに重ねて
ベストを組合わせることもあるでしょう。

さて、スポーツ・シャツの場合、どう考えるか。
これは替上着とは逆の考え方をする。
思いきった、大胆な色柄のものを選ぶ。
言い方を変えれば、
スポーツ・シャツ(あるいはスェーター)が
全体のなかでの主役になるような着こなし方をする。
上着もパンツも脇役に徹する。
このようにそれぞれの役割をはっきりさせたほうが、
美しく見えるものです。
そして全体の着こなしとしても
成功する確率が高い。

さあスポーツ・ジャケットを着るぞ、という時、
つい人は上着に工夫を凝らそうとする。
でも、それは違うのです。
上着はむしろ目立たないように。
そしてスポーツ・シャツを目立たせるようにする。
美しいイエローのウール地のスポーツ・シャツ。
あるいボルドー・カラーの
コォデュロイのスポーツ・シャツ。
主体はシャツと考えることで、
替上着の着こなしは大きく拡がるでしょう。


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2003年11月2日(日)

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