服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第409回
財布のおしゃれ

いつも財布はどのポケットに入れていますか。
私はたいてい
パンツのヒップ・ポケットということが多いようです。
でも、これは人によって違いますし、
また財布のかたちによっても異なってくるでしょう。
大きくふたつに分けることが出来ます。
タテ長の財布と2つ折りの財布との。
業界用語としては前者を「束(たば)入れ」、
後者を「札入れ」と呼ぶようです。
ついでながら英語では“スクエア・ウォレット”と
“スモール・ウォレット”と区別しています。

“スクエア・ウォレット”(束入れ)は
上着の内ポケットに入れるのに向いています。
一方“スモール・ウォレット”(札入れ)は
パンツのヒップ・ポケットに入れることが多いはずです。
ここでまた、無用の雑学を。
俗に尻ポケットのことを「ピスポケ」と呼びます。
これは明治期に“ヒップ・ポケット”を耳で
「ピスポケ」と聞いたところからはじまったものです。

さて、話は変りますが、
タキシードを着た時、財布はどこに入れるか。
タキシードは着ない、という人もいるでしょうが、
まあ一応のついでとして。
実はタキシードにはタキシード専用の財布があるのです。
“ドレス・ウォレット”。
この上なく薄型に作られたタテ長の財布。
身体にぴったりフィットした
フォーマル・ウェアであっても、
シルエットを崩さないためのものです。
1万円札少々、1000円札少々入れておくのに最適の財布。
とにかく薄くて、軽くて、かさばらない。
その代り、札以外は入れることができない。
もちろんタキシードに限らず、
内ポケットをふくらませたくない人には
幅広く使えるでしょう。

ドレス・ウォレットは外国製が多く、
またあまり一般的でもありませんでした。
ところが国産の、比較的値段の安いものを見つけました。
伊東屋(TEL:3561-8311)で、3500円で売っています。
伊東屋のオリジナルなのだそうです。
これが本当に財布だろうか、というくらいに薄い。
なんだかタキシードが着たくなるような
ドレス・ウォレットです。


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