服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第410回
ブローグの上手な組合わせ方

あらゆる男の靴のなかで、
もっともおしゃれな靴は何だと思いますか。
これは難しいですね。
十人十色、人によって好みが違いますから。
でも、それを承知の上で
あえて私の好みをあげるなら、ブローグ。

“ブローグ”brogueは
今現在、もっともクラシックな靴のひとつと言って良いでしょう。
甲などの部分に小さな飾り穴が
たくさん開いているデザインがありますね、
あれがブローグなのです。
さまざまな色や素材、
さまざまなスタイルがあることは言うまでもありません。
なにもブローグがすべて、
と言うつもりはありませんが、
おしゃれをめざすなら
一足くらいは用意しておいても良いでしょう。

少しファッションに詳しい方は、
「ああ、あのウィング・ティップの靴だね」
とおっしゃるかも知れません。その通りです。
でも“ウィング・ティップ”は主として
アメリカで使われる言葉なのです。
イギリス英語では単に“ブローグ”。
そのために“ハーフ・ブローグとか
“セミ・ブローグ”という言い方があります。
爪先がウィング・ティップではなく、
直線(ストレート・ティップ)になっている場合に
“ハーフ・ブローグ”。
これに対する言葉が“フル・ブローグ”。
つまりアメリカの“ウィング・ティップ”が
イギリスでの“フル・ブローグ”なのです。
ここで例によって無用の雑学を。
ブローグのことを時として
“ブタペスト”Budapestと呼ぶことがあります。
これはかつての上質のブローグが
ハンガリーのブダペストで
作られたことがあるところからの別称なのです。

ブローグはもともとスコットランドの労働靴が原型で、
その意味でも英国的な靴と考えて良いでしょう。
かのウインザー公も
よくこのスタイルの靴を好んだものです。

深いブラウンのブローグを履いてみたいと思っています。
合わせる靴下はイエローをベースにしたアーガイル・チェック。
パンツはグリーンのコォデュロイ・・・。
秋になると決まってこんな着こなしがしてみたくなるものです。


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