服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第430回
コートとネクタイの相性について

今回は、日ごろご愛読下さっている
読者の shigeo kakudou 様から
ご質問メールをいただきましたので、
ご回答を掲載させていただきます。


■shigeo kakudou 様にいただいたメール

出石先生、
いつもコラムを楽しく拝見致しております。
先日は
『ベストの下から覗くネクタイの剣先の取り扱い』
についての質問を
コラムに取り上げて頂きまして、
誠にありがとうございました。

今回また新たな質問を1つ。

コートの色と、
コートのVゾーンから覗くネクタイの色との
組み合わせに関してセオリーはあるのでしょうか?

ネクタイはどうしてもコートの下の
スーツとの相性で選びがちで、
コートとの相性までかまってられないというのが
正直なところだと思います。
コートとスーツは相性が合っていて、
スーツとネクタイも合っている。
でもコートとネクタイは合っていない。
そんなシーンへの対応策を御教授ください。

shigeo kakudou


■出石さんからのA(答え)

いつもご愛読下さり、ありがとうございます。
またお便りを頂きましたことにも、
重ねて御礼を申上げます。

コートとネクタイとの相性。
たしかにこれは盲点だと思います。
少なくとも私はこれまで気にしていませんでした。
けれどもコートにも当然
胸元のVゾーンはあるわけで、
そこにネクタイがあらわれることになります。
たしかに真面目に考えてみるべき問題でしょう。

でも、まず最初に、
なぜこれまであまり問題にされなかったのか。
それはまず第1に、
スーツとコートはたいてい同系色であろう、
という常識があったのかも知れません。
しかしブルー系のスーツに
ブラウン系のコートを羽織ったりすれば、
そこに合わせるネクタイはたいへん難しい。
逆にブラウン系のスーツに
ブルー系のコートという場合でも、
まったく同じ問題が生じます。
とりあえず「お手上げ」という他はありません。

第2に、スーツに較べて
コートを羽織っている時間が短い、
ということもあったでしょう。
しかもいよいよとなれば、
マフラーなどをしっかりと巻いておけばよい、
と考える人もあったはずです。

さて、もう少し整理してみましょう。
スーツ(またはジャケット)とコートを
なるべく同系色で揃える。
たとえばダーク・ブルーに
ダーク・グレイといった組合わせでも、
ネクタイ選択の幅はかなり広くなります。

けれども時として、
トレンチ・コートやレザー・コートを
重ねるような場合もあるでしょうから、
スーツとコートの相性だけで
解決できる問題ではありません。
結局のところネクタイの選択を巧妙に行うことが、
なによりの解決策だと思います。

ダーク・グレイの無地のタイ。
これなら絶対どんな組合わせでも問題ありません。
あるいはダーク・ブルーも応用範囲が広い。
無地以外では
小さな水玉模様もおすすめしたいものです。
そして大切なことは、
コートとタイの相性をよく考えるような姿勢こそ、
おしゃれ上手への近道だということです。


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