服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第441回
革ジャンパーを友達にする方法

革ジャンパーを着たことがありますか。
私も一応皮ジャンパーを持っています。
男の血が騒ぐ、というのは大げさでしょうが、
やはり好きなのでしょう。
私が今、気に入っているのは、
スタンド・カラーの、
前身中央にファスナーがあしらわれた
シングル前の革ジャンパーです。

あらゆる革ジャンパーの典型は
モーターサイクル・ジャケットでしょう。
もともとはオートバイ乗りが着たもので、
ライダーズ・ジャケットとも呼ばれることはご存じの通り。
ファスナーが斜めに走っていて、
これを首元まで完全に閉じると、
寒風が入ってこない。
ただ暖かいというだけでなく、
これほど男らしいイメージの革ジャンパーも
珍しいでしょう。
「ヴァンソン」や「ショット」、
あるいは「ハーレー・ダビッドソン」など、
それぞれにファンがいることも言うまでもありません。

でも、私の革ジャンパーの買い方は
ブランド志向ではありません。重量指向。
手で持ってみて、
重い革ジャンパーほど好きなのです。
重いということは、革が厚い、革が厚いから暖かい、
と勝手に考えているわけです。

さて、革ジャンパーを買うと、
とりあえず普段着として着る。
毎日のように着続ける。
そうすると、かすかに身体に合わせるかのように、
クセがつきはじめる。
このクセをじっくりと眺める。
それからシルエット改良にとりかかる。
細くしたい所はより細く、
広くしたい所はより広くする。
ボタンやバックルをしっかりと調整する。
またアイロンをかけることもあります。
ウールと同じ扱い方で結構。
ほんのわずかですが、広くなったり、狭くなったりします。

「手塩にかける」と言いますが、
ひとつの儀式でもあるのでしょう。
これで本当に自分の革ジャンパーになった気持ちが
深くなってゆくのです。
さて、自分の、大好きな革ジャンパーが完成。
この自分の分身を、私はまるで
ふつうのスポーツ・ジャケットのように着こなすのです。
たとえばスポーツ・シャツに
ウール・タイを結んだりして。
暖かい、そして実にステキだと、
勝手に考えています。


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