服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第490回
春ははじめる季節

青帝(せいてい)という言葉を知っていますか。
青帝は五天帝のひとつです。
東西南北、そして中央をそれぞれ支配する天がある、
という考え方があります。
そのうちの東の天(東帝とも)が、青帝(せいてい)。
色で言えば青をつかさどるとされるからです。
少し話が長くなってしまいましたが、
「青帝」は春の別名なのです。
同じように「東帝」も春を意味する言葉として
使われることがあります。

いよいよ待ちかねた春がやって来ます。
「春」はどうして、「ハル」なのか。
一説に晴(ハル)から来た言葉と言われます。
そしてもう一説には発(ハル)が語源とも言います。
芽が、草が、花が、自然界のもの皆すべてが
生まれ出づるので、「発」(ハツ)。
ここから「春」の言葉が生まれたのだそうです。
私はこの説が好きですね。

一歩外に出ると、春の匂いがする。
明るくて、暖かい。
身体が伸びて、元気よく動かしたくなってくる。
なにかが生まれるには、
あるいはなにかを生むには、ぴったりの季節。春。
春はあなたには来て、私には来ない、ということはない。
誰のところにも同じようにやって来る。
これが素晴らしい。
でも「ああ、もう春か」と思う人がいる。
また、「春という良い機会だ」と思う人もいる。
当然、これは後者であるべきです。

ごく控え目に考えて、
春はなにか新しいことをはじめるのに、
実に良い機会です。
春という季節がそっと背中を押してくれる。
なにか新しいスポーツをはじめてみよう。
なにか新しい趣味をはじめてみよう。
なにか新しい楽器をはじめてみよう。
なにか新しい語学をはじめてみよう。
フランス語、イタリア語、スペイン語・・・。

「よし、はじめてみよう」と思う、
前向きの姿勢こそ美しい。
美しい姿勢は人生を拓いてくれるからです。
私もはじめてみたい。
たとえば、日本語。
知らない日本語がたくさんあるから。
一日にひとつだけ、知らない日本語をふやしてゆく。
小さなことから一歩づつ、はじめてみましょう。


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