服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第507回
知恵とアイロン

あっ、どうして今までこんな簡単なことに
気づかなかったのだろう、
ということありませんか。
私は時どきあります。
ユウレイカ!と叫んで
大発見したような気になったりします。

この間、シャツにアイロンをかけていて、
大発見?をしました。
私、シャツに自分でアイロンをかけるのは、
すでにお話をしたはずですね。
ワイシャツのアイロンをかける時、
もっとも気になるのは襟と袖口。

まず襟の手順について。
襟は平らに開いて、表側からかけてゆく。
左手で一方の端を引張りながら、
右手でアイロンを持ち、
襟の中央にに向って進めてゆく。
万一、シワが気になるような場合でも、
襟の中央部分へと追込んでゆくようにすれば、
ほとんど問題ありません。

ところが問題は、
もう一方の左側の襟先。
どうしてもアイロンを持つ右手を、
右から左へと動かしてゆくことになるので、
シワや、かすかな段差が出やすいのです。
このような数多くの失敗から、
わがユウレイカ!が訪れたのです。

右から左に動かせばよいのなら、
そのような位置に置き直せば良いのではないか。
そうだ!どうしてそんな単純なことに気づかなかったのか。

シャツ全体の置き方を変えて、
シャツの裾が向こう側になるようにする。
と、今まで左側にあったもう一方の襟先は
ちゃんと右側にくる。
あまりにも当然すぎることですが、
で、先ほどと同じように、
右側から中央部に向って、
生地を追込むようにアイロンを動かしてゆけば、
この上なく美しく仕上ります。

この要領はカフスなどについても同じことですから、
ぜひ一度試してみて下さい。
いつでも、右から左へとアイロンを動かすように。―
そんなことは、とっくに知っているよ、という方には、
素直にゴメンナサイと申上げます。

でも、私が思うには、やはりやってみることです。
手や身体を動かしてみる。
そこでなにかにぶつかった時、
人間の智恵は生まれるのです。

※ユウレイカ(EUREKA)とはアルキメデスが
  浮力の原理を発見した時に発した言葉です。


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