服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第509回
スーパーカジュアル野点

春になっていちばんやってみたいことは何ですか。
私は野点がやってみたい。
もちろん「のだて」と読みます。
古くは「ふすべの茶の湯」とも言ったそうです。
「ふすべ」は、草や木を燃やすことです。
では、私に茶の湯の心得があるのか。
まったくありません。
ただ、単純に野点にあこがれているだけのことです。

抹茶はたいてい小さなカンに入っていて、
携帯に便利だなあ、と思ったのです。
戸外で珈琲を飲むのは、よくわかりますよね。
でも、これはけっこう準備がたいへんなのです。
粉を何に入れるか、フィルターはどうするか。
しかし、野点は極端な話、
抹茶と湯さえあればなんとかなる。
そのまま飲んでしまうのですから、
カスもゴミもまったく出ない。
珈琲や紅茶よりもはるかに
アウトドアに向いているのではないでしょうか。

つまり私のそれはひとり野点、
カジュアル野点。
ひとつには最近の携帯用コンロの進歩があります。
軽くて、小さくて、高機能。
簡単にポケットに入ります。
もっとも今、私が使っているのは、
古い、旧式のコンロですが。
仮にそうであっても、
デイパックに入れておけば、まったく問題ありません。
あとは水。
もちろんペットボトル1本あればよろしい。
でも、ちょっと待って下さい。
野点というなら、現地調達しようではありませんか。
湧水、名水、天然水・・・。
美味しい水があるので有名な場所がありますね。
あるいは知る人ぞ知る秘密の水場。
水を訪ねて、その近くで野点をする。

そうすると、抹茶とコンロさえあれば良い、
ということになります。
これは楽ですよ。軽い。
眺めの良い、気持の良い場所で、
近くには名水があって、野点。
こうなると、茶を飲むと言ってはいけません。
一服(いっぷく)。茶を喫(きっ)する。
いやあ、これはもうぜひカジュアル野点やるべきですね。

ひとり野点。
素敵なことは人から与えられるものではなくて、
自分でその価値を創り出すところからはじまるのだと思います。


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