服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第525回
絵を描いてみたくなる本

絵が描けたらいいなあ、
と思ったことありませんか。
私はこれまでに何度も絵を描いてみようと決心し、
何度も挫折しています。
もちろんプロの絵描きになろうというのではありません。
たとえば旅先で見た風景を
自分なりにスケッチができたらなあ。
写真も悪くはないのですが、
それでも絵が描けることへの憧れは
いつでも持っています。

さて、そんな私が、また何度目かに、
絵を描くぞと心に決めた事件が起きました。
「事件」とは少しおおげさですが、
1冊の本と出会ったのです。
奥津国道 著 『水彩画プロの裏ワザ』(講談社刊、2000円)

たまたま本屋で、
この本を立読みしようとした。
その時の気持としては
「またか・・・」と自分を笑うところがありました。
ところが偶然、開いたページで目が止った。
「カルバドスの小瓶を描く」とあったのです。
カルバドスは私の好きな食後酒で、
それがまあ、さり気なく描かれていたのです。
これは絵手紙の描き方の一例だったのです。
もしこのカルバドスの絵がなかったら、
見なかったなら、
この本を買うこともなかったでしょう。
しかしそれにしてもこの本は良く出来ています。

まず最初に先生が描いた絵(お手本)があります。
で、その絵を描く手順をこと細かく、
かつ具体的に説明してくれるのです。
少なくとも「これなら描ける」と
思わせてくれることだけは間違いありません。
たとえば
<カドミウムオレンジが乾いたら、
 やや濃い部分にウォームオレンジを重ね塗り。
 瓶の底の濃い部分はバーントシェナ・・・>
という具合なのです。
どの部分に、どの絵具を、
どんなふうに使うのかを、
ちゃんと教えてくれるのです。

そしてさらに、
奥津先生のパレットの中身もすべて紹介しています。
絵具は英国のラウニー社製のハーフパンで、
どの色をどこに置いているかまで教えてくれるのです。
もちろんそれがどこで揃えられるかも。

下手でいいから、
とにかくはじめてみようと思います。
自分の心に向けて描くことが、
大切なのですから。


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