服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第538回
着心地の快感

ワイシャツの着心地を良くしてくれる要素は
何だと思いますか。
まず第一に生地の良し悪しでしょう。
シャツはやはり直接、肌に着ることも多く、
しなやかな生地ほど着心地が良くなるのは当然でしょう。

少し慣れてくると、
指先でそっとシャツ地を触ってみると、
その良し悪しが分るようになります。
最初はまったく見当もつきませんが、
これを何年かつづけているうちに、
少しづつ感覚が分ってきます。
本当のプロになると、
まるで指先に眼がついているように、
明確に判断がつくものです。

ところで良いシャツ地といえば、
シー・アイランド・コットンがあります。
シー・アイランドはご存じのように、
アメリカのサウス・カロライナ州、
ジョージア州、フロリダ州、
その北部沿岸に位置する列島のことです。
この地に産する良質のコットン。
海島綿の名前でも呼ばれます。
海島綿はなにもシャツ地だけでなく、
すべてのコットンのなかでも、
とくに上質の繊維なのです。

海島綿の繊維は、細くて、長い。
長いものでは6.5センチにもなります。
一般のコットンはだいたい2センチ前後なのです。
海島綿は、そもそも原種の木が違う。
ゴシピウム・バルバデンセという種類。
通常の綿は、ゴシピウム・ヘルバケウム
という木の種類なのです。

シー・アイランド・コットンの歴史は、
1785年にはじまるとのことです。
ちょうどその頃、ジャマイカのキングストンに、
パトリック・ウォルシュという男がいた。
ウォルシュは友人のフランク・レヴェットに
アメリカへの移民をすすめる。
こうしてレヴェットは
ジョージア州のサペロ・アイランドに住むことになる。
そしてウォルシュはレヴェットに、
ジャマイカのコットンの種子を送ったのです。
これが現在の海島綿の源だということです。
まあ、それはともかく、
シー・アイランド綿が
かなり特別なコットンであることは
理解して頂けたはずです。
せめて1枚くらいは
海島綿のシャツが欲しいものですね。


←前回記事へ 2004年3月31日(水) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ