服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第539回
オフの心、オフの着こなし

昼間のフォーマル・ウェアには
何を着るべきだと思いますか。
夜の礼装は比較的分りやすい。
けれども昼間の正装はなかなか難しい。
実は、今度落成式があって、
それに出席する予定なのです。
それは立派なビルディングで、
しかるべき落成式なのです。
時間は午前11時から。
さあ、どうしよう。

ごくふつうに考えれば、
主賓はやはりモーニング・コートでしょう。
黒のコートに縞ズボンですね。
でも、私はその他大勢の、
末席に連なるだけですから、
それほどのフォーマル・ウェアは必要ないでしょう。
第一、私は正式のモーニング・コートは持っていません。
ただし、ダーク・ブルーのモーニングという
妙な代物は持っていますが・・・。

出席者のひとりとしては、
ダーク・スーツを中心に考えるべきでしょう。
たとえばシングルの3つボタン型。
スリーピース・スーツであるかどうかは
好みの問題です。
ただし出来れば柄物よりも無地のほうがよろしい。
よりドレス・アップの感じになるからです。

問題はネクタイ。
ふつう昼間の正装には
シルバー・グレーの無地ということになっています。
けれどもダーク・スーツにシルバー・グレーのタイ。
ちょっと私には物足りないような感じがします。
そこでオフ・ホワイトの、
無地のタイを結んで行こうと、考えています。
こんな時、オフ・ホワイトのタイはなかなか便利ですよ。
文字通り「白ではない色」。
ベージュとは違います。
「白に近いけれど、白ではない色」。
ダーク・スーツに合わせると、
効果的なドレス・アップが演出できます。

余談ですが
“オフ・ブラック”という表現もあります。
“オフ”off。
ファッション上は
「かすかに外す」と解して良いのではないでしょうか。
つまりシルバー・グレーにするところを、
オフ・ホワイトにするように。
わざと、意図的に、ほんの少しだけ外してみる、
強めてみる、遊んでみる。
これが着こなしの“オフ”だと思います。
おしゃれ心とは
“オフ”の心でもあるのではないでしょうか。


←前回記事へ 2004年4月1日(木) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ