服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第559回
マッチ1本おしゃれの基本

ほつれ糸の処置はどんなふうにしていますか。
たとえば上着の裾口で、
1本の糸がとび出していることがありますね。
「ほつれ糸」と言うべきでしょうか、
それとも「むだ糸」と呼ぶべきでしょうか。
もちろん糸の程度の問題もあるでしょうし、
気になるかならないかの、
個人差もあるでしょうし、
私はどちらかと言えば、
気になるほうかも知れません。

さて、ほつれ糸をどうするか。
一番してはいけないことは、
糸をひっぱることです。
どんなに気になっても、
これだけは止めましょう。
他の部分にまで、
思わぬ影響があらわれるからです。
次にハサミで切る。
これは次善の策です。
で、もっとも良いのは、火を使って焼き切ること。
マッチ、もしくはライターの火で。
思ったよりも、かなりうまく行くはずです。
「むだ糸」を処理するには最上の方法でしょう。

天然繊維はもとより
合成繊維についても有効です。
切口を焼くことによって、
それ以上はほつれにくくなるからです。
ただし、マッチにせよ、ライターにせよ、
火であり、炎ですから
慎重の上にも慎重に取り扱うことは
言うまでもありません。

実は、炎を使うやり方は、
昔からある方法なのです。
「ガス系」というのを聞いたことがあるでしょうか。
これはコットンの糸を文字通り、
ガスの炎の中を通してゆく。
すると糸の表面のケバがほとんど消えてしまう。
この滑らかな糸で織った生地は、
当然のことながら美しい光沢があらわれます。
つまり炎を使うやり方は、
伝統的な手法でもあるのです。

ほつれ糸はなにも着るものだけに限らず、
鞄などについても同じことが言えるでしょう。
縫い糸が1本とび出している。
これを炎で切る。
あるいは布製などの場合、
端がこすれてケバ立ってくる。
このケバをマッチの炎などで焼いてしまう。
面白いように、不要部分だけが消えてしまいます。
でも、火を甘く見てはいけませんよ。
くれぐれも火の扱いには充分注意して下さいね。
マッチ1本でおしゃれをする方法もあるのです。


←前回記事へ 2004年4月21日(水) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ